問題プロジェクトの火消し術

問題プロジェクトの火消し術

問題プロジェクトの火消し術

QuaSTomのPM分科会で火消しについて話し合う機会があったこともあって本書を読んでみた。
プロジェクトをどう進めていけばよいかという書籍は多いが、問題が発生した時のリカバリー方法について説明した書籍はあまりないのではないだろうか。
これを読んで「大変でーす」といったアラーム程度では上は動いてくれないということが理解できた。
火消しのためには決定権をもった人の支援が不可欠でそういった人を動かすためには、納得してもらえるだけの状況説明およびリカバリープランが必要だ。
これまでやっていたリカバリープランや上へのアラーム提示は甘かったことが分かった。
これまでは「気づかない上側が悪い」なんて偉そうに考えていたものだが、ちゃんと説明もせずに気づくわけないわな。


本書に書かれている内容は決して火消しの特効薬ではない。8つものプロセスに従って確実に火消しをしていくための方法が書かれている。ただし、具体的にこうした方がいいといったことはあまり書かれていない。リカバリープランの中身は自分で考える必要がある。
火消しに失敗したら目も当てられない状況になるわけで、そういった意味では厳密にやっていく必要がある。
よって、プロセスに従って火消しを実施していくというアプローチは正解だと思う。
「プロセスに従って悠長にやっている暇はないんだよ!」という意見もあるだろうが、とにかく人をかき集めて人海戦術で乗り切ればいいなどという短絡的なプランだと余計に火が広がる可能性がある。


amazonで目次ページが読める。これを読むだけでもどういったプロセスで進めていけばよいかが分かる。
ぜひ読んでみてもらいたい。


実は現在やっているプロジェクトも中国が担当しているサブシステムが、こちらが提示した締め切りの前日になって「あと、1週間でできると思う」とたわけたメールをよこしてきやがった。
そもそもSEがデッドラインの日を中国に締め切り日として提示していたがために納期を遅らさざるをえない状況になってしまった。
果たしてどうやってこの火を消していけばよいか?
「1週間でできると思う」という言葉を安易に信じてはいけない。まずは現状把握が必要だ。しかし、相手は中国だけに現状把握だけでも大変だろう。しかしやっていくしかない。現実的にいつ終わるかを聞き出し、それをふまえてお客と納期交渉する必要がある。
納期交渉の際はお客が納得できる説明を論理的にやっていかなければならない。
難しい問題だ。