武漢出張

すっかり更新する気が失せていたのだが、時間もあることだし久々に更新。


日曜から中国の武漢市に来ている。武漢に来たのは初めて。大都市とは聞いていたが確かに洗練されたイメージ。しかし、俺が来ているエリアはこっちの人が言うには3年前は田舎町で何もなかったらしい。しかし、今は俺が泊まっているホテルにしたって20階以上あるし高層ビルディングが結構たっている。3年前まで何もなかったとは信じがたい。
こっちに来た目的はうちのシンガポール拠点の子会社が武漢にあって、シンガポール経由でその会社のソフト開発を発注するため。いわゆるオフショアってやつか。
中国とのオフショアの場合、日本語でやり取りするケースが多いようだが、今回はそんなことはなく英語。
まあ、日本向けのソフトではなくグローバルで使おうとしているソフトなので英語でいいのだが。
スペックの説明と設計の検討をすることになっているのだが、実は俺がスペックを書いたわけではないにも関わらず1人で来ているため議論していても返答に困ることが多々あり、かなり疲れる。
先月も1人で中国に来たのだが、その時はシステム改造であり内容はよく分かっていたため、特にストレスは感じなかったが。
まあ、英語の勉強になっていいけど。
英語といえば午後の議論を1時から再開したいといったらEnglish classがどうのこうのと言っていて1:30からにしたいというのでよく聞いてみたら週に1回、昼食時にみんな(20人ぐらいしかいないが)で英語の勉強をしているとのこと。
うーむ、すごい!素晴らしい!うちらも見習わなきゃだな。更にこっちのキーマンと話しているとソフト開発についてもかなり詳しい。
スケジュールが厳しいので逆にこちらからイテレーションプランを提案したら、「じゃあスクラムを使って2週間毎にリリースするのはどうだ?」と提案してきた。
アジャイルやってるの?」と聞いたら3年前頃からやっているらしい。マジかよ!
ちょっと前に「TDDとリファクタリングに詳しいか?」と質問した時に「アジャイル開発も可能だ」と返答がきたのでもしやと思っていたのだが・・・。
このキーマンは「ソフト開発に英語は必須だ。最新のテクノロジーは英語じゃないと手に入らない。」と言っていてまさにその通りなのだが、ここまで意識が高い人は日本でもなかなかお目にかかれない。
かたや、日本のソフトハウスに今回のソフト開発の設計を少しお願いしようとした際に「ドキュメントは英語で書いてくれない?」とお願いしたら「かんべんしてください」と言われてしまった。なのに中国の2.5倍ぐらい金取るんだからなあ。
実際、そんなことがあったものだからキーマンに「日本語ができる中国人開発者を見つけてよ」とお願いしてしまった。良い開発者が見つかったらマジで日本のソフトハウスなんか使わねえぞ。
誰が好き好んで高い金出して意識もたいして高くなく英語に対しても逃げ腰の会社を使うってんだよ。
とはいえ俺が以前にいた部署でもオフショア(中国)を上層部が推し進めようとしているのだが失敗例が多くて現場はなかなか使おうとしない。
一概に失敗理由を決め付けるのは乱暴かも知れないが、俺が思うにコミュニケーション不足が大きいのではないかと思う。
オフショアをやるのであれば何はともあれ中国の開発現場に行く必要があると思う。しかし、どうもそうではないようだ。逆に中国からはたまに来ているようだがお金の都合もあって1人しか呼べず、結局その人が中国に戻って展開するわけだ。本来であれば日本の開発リーダーが中国に乗り込んで現場の人を指導した方がはるかに効果的なはずだ。
実際、そのようにした例もあり、その時は見事に成功している。
中国に行く費用云々ではなく、単に面倒か観光ではなく仕事で海外に行くことに怖気ついているんじゃねえのかなあ。
費用の話でいえば、以前の部署にいた時に上司に「このプロジェクト(オフショアをやる予定)にアサインされたら中国に1週間ぐらい行ってきていいですか?」と聞いたら「1週間といわず1ヶ月ぐらい行ってていいぞ」と言われた。だから費用は関係ないはず。
で、今回のキーマンもしきりに”コミュニケーションが必要だ”と言っていた。ホントその通りで「分かっているねえキミ」と言いたい。


で、飯の話だが、昼食、夕食とも俺のリクエストで中華にしてもらっている。味はもちろんうまい。特に変わったものは食べてないが昨日の昼食は蛙と野菜を炒めたものをご飯にのっけたものを食べた。いたって普通だったが。
毎回おごってもらっており恐縮しきり。「明日の昼食は俺が払うよ」と言ったのだが「必要ないよ」と言われてしまった。
おかげでこっちに来てまだ1元も使っていない。一応4万円分ぐらい元を持ってきたんだけど。まあ、また来る機会があるでしょ。

ルポ資源大陸アフリカ―暴力が結ぶ貧困と繁栄

ルポ資源大陸アフリカ―暴力が結ぶ貧困と繁栄

ルポ資源大陸アフリカ―暴力が結ぶ貧困と繁栄

アフリカは内戦、虐殺、治安、汚職などなど俺にとって非常に印象が悪い地域。俺個人が直接関わることは全くといっていいほどないが、10年以上前に旅行でエジプトに行ったことがある。その時はそれほど治安は悪くないと思ったが、俺が行った数年後に俺も訪れた観光スポットでテロがあり日本人が10名も殺されている。
来年は南アフリカでワールドカップが開かれることもあり、きっと南アフリカの治安の悪さが話題にのぼることだろう。
で、この本は毎日新聞ヨハネスブルク特派員だった人が赴任当時にアフリカの暴力の現場に飛ぶことによって書かれたルポ。
この著者の行動力、アフリカの現状を伝えようという使命感に圧倒される。現場に行くことでしか書くことのできない迫真のルポ。いやはやすごい人がいるものだ。
赴任中は24カ国に出張したそうだが、本書では南アフリカ、ナイジェリア、コンゴ民主共和国スーダンソマリアの5カ国でのルポが掲載されている。ソマリアにまで行ったんかい、この人。スーダンでは密入国までしてるし。


特にひどい国々を取り上げているせいもあるが、国民のことをまるで考えていない政府、そして結局犠牲になるのは貧困層の人達という実態に何ともいえない憤りを感じる。
そしてその一端に実は我々も間接的ながら関わっている。でも何もできない。今はただただ日本に生まれたことを感謝するしかない。
確かに最近の日本は暗い話ばかりだが命までは持っていかれない。しかし、本書に出てきた国の人達は命の危険にさらされながら生きている。
こういった現実がリアルタイムで存在しているということを知っておくのもいいと思う。

闘うプログラマー[新装版]

闘うプログラマー[新装版]

闘うプログラマー[新装版]

以前に少し紹介した闘うプログラマーの新装版が出ていたので思わず購入。数年ぶりに読んだがやっぱり面白い。
はっきり言ってデスマな開発現場だが、やっぱりカトラーはすごい。250人ものメンバーを率いながら現場の最前線に飛び込み、言葉でなく行動で示す姿勢。見習うべき点だなあ。礼儀知らずの点は見習いたくないが。
しかし、マイクロソフトの社員って今はどうだか知らないがよく働くなあ。ストックオプションでつって馬車馬のように働かせて後は知らんって感じがしないでもないが。

魔獣の鋼鉄黙示録、AOR

音楽本を2冊購入

魔獣の鋼鉄黙示録――ヘビーメタル全史

魔獣の鋼鉄黙示録――ヘビーメタル全史

こんな本が出ていたとは全く知らなんだ。メタル歴の20年の俺としては買っておかねば!ということで購入。驚くことに早川書房から出ている。何を血迷ったんだろう?
読み始めると徹夜しそうなので怖くてまだ読んでない。
ブラック・メタルの血塗られた歴史 (Garageland Jam Books)なんてのもあったが、これはかなりやばそうな感じだった。メロブラは嫌いじゃないが真性ブラックは好きではないのでパス。

AOR

AOR

1冊目とは打って変わってAORのガイド本。これは当たり!
本来はメタル好きな俺だがロマンティックのあまりの素晴らしさにAORもちょこちょこ聞くようになった。とはいえ得意分野ではないので他の名盤はよく知らないのだが、この本は参考になるなあ。

中国出張最終日前日

明日は帰国するだけなので実質、今日が中国出張の最終日。


1週目は拠点との組合せテストだったので特に緊張することもなくのぞんだが、2週目は客先での立会検査だったため非常に緊張してのぞんだ
2週目の月曜日は早朝に目が覚めてしまい、このまま逃げ出したいと思ったぐらいだ。
これが日本だったらそんなことは思わないが、ここは中国、やり取りは英語でしなければならない。
初日はまず立会検査のkick off meeting(KOM)を実施した。客先からの参加者は10名以上おり「何でこんなにいるんだよ」と思い更に緊張。
ただでさえ下手くそな英語がしどろもどろになり理解してもらえたか非常にあやしい。
でも客先キーマンからの質問にも無事に答えることができてKOMは無事に終わった。
その後は怒涛のようにテストをこなし3日目で全テストを終わらせることはできたものの、最後に中国側が作ったサブシステムに問題が発生し、あわてて調査。俺が原因を見つけてあげて無事に解決。
4日目はインストール作業で無事に終わったと思ったら、その後から「ここがおかしい」という指摘が。結局、俺が作った(実際に実装したのは俺ではないが)システムの問題ではなかったが。
5日目にも問題が発生し、環境依存の問題だった。むしろ我々が作ったソフトのバグの方が原因を見つけるのは早いが、環境依存ということで対応に非常に手間がかかってしまった。
日本から連れてきた開発者は次の日に帰る予定だったものの、17時になっても解決しないため、上司に電話してどうするか判断を仰いだ。当然、俺としては延期してもらうしかないと思っていたが、ここは中国なため俺の一存では決められない。結局、上司も「残った方がいいだろう」ということで、その旨を開発者に伝えたところショックを受けたようで「残ったって意味じゃないですか」と訳わかんないことを言い出す始末。
「じゃあ、お前は日本に帰ったら必ず解決できる自信あるのか?」と聞いたらそれには答えず「きまぶ〜さんは明日(土曜)はどうするんですか?」との愚問を発してきた。
当然「一緒に対応するに決まってるだろ!」と返した。
「何だ、この甘ちゃん野郎は」と思ったが、その後に謝ってきたのでよしとした。
結局、その後、20時頃になって無事に解決してそいては予定通りに帰国した。
やっぱりあきらめてはダメだ。覚悟を決めればうまくいくもんだ。・・・と実感した。
この週は客先立会ということもあり本当に大変だったし精神的に疲れた。
しかし、日程的には予定通り終わったわけで、ものすごい充実感を感じた。
この充実感は日本でやる場合の比じゃない。


終わった後にシンガポールにいるTさんに無事に終わったことを報告し、ホテルに帰ってからメールも出した。
Tさんは返事をくれるとともにTさんの上司にも転送してくれて、Tさんの上司からも労いの言葉がきた。
2人とも今回の私の働きを高く評価してくれる返事であり、ものすごくうれしかった。努力は報われるもんだなあ。


今日は中国最後の夜ということで拠点メンバー全員と夕飯を食べた。
日本人は俺しかいないので中国語が飛び交ってはいたが、ところどころで英語で俺に話してくれたり、俺の横には今回の出張中ずっと行動を共にしていた中国人が座っていたので彼と色々と話をしたりして楽しい宴会だった。


今回で中国出張は最後かなと思っていたが、どうもあと最低1回、もしくは2回行くことになりそうだ。

中国出張6日目

ようやく1週間たった。今週は拠点とのテストがメインだった。


事前に調べた天気予報では今週はずっと雷雨だったのだが毎日快晴だった。おかげでムチャクチャ暑い!日本より蒸し暑くてすごしにくいったらありゃしない。まあ、ホテルは結構快適だが。


火曜日にこっちの拠点のボスのさらにボスから「お客にトレーニングをしてもらえないか?」と依頼のメールが入っていて正直困った。しかし、お客から拠点に対して多数のクレームが入っており少しでも挽回しなければならない状況であることは理解しているため協力することにした。
うちの拠点先の会社の副社長(拠点のボスのボスのボスといったところか)からもお願いされてしまったし。
実は3週目に拠点向けにトレーニングを実施することになっており、そのトレーニングへの参加を許可することにした。お客がいるとなかなかやりにくいのだが致し方ない。
更にもう1つ提案し、お客に"Good enough"と言われて受け入れてもらえた。


火曜日にのどが痛いなあと思ったら水曜日は思いっきり風邪の症状になってしまい非常にきつかった。
拠点の中国人は当初、「新型インフルエンザじゃないの?」なんて笑っていたが、俺があまりにつらそうにしていたので「病院行くか?」と気をつかってくれた。ていうか正直、中国の病院に行きたいとは思わなかったが。
薬とたっぷりの睡眠でなんとか回復した。


木曜は拠点のボスから夕食に誘われて点心の店に連れて行ってもらった。いわゆる、ワゴンから好きなものを取るというスタイル。この店は24時間営業とのことでびっくり!
夕食の席では楽しい話・・・とはならずに仕事の話ばかり。「出張を2日のばしてくれないか?」なんてお願いされる始末だし。だから夕食に誘ったのか?結局、1日だけのばすことをOKした。


今日はお客のところに行って来週から始まるテストの準備を行った。
準備中に急遽、客先で実施する安全教育に参加させられた。最近、事故が多発したため教育を実施することになったらしい。
教育用のスライドは英語と中国語の両方書いてあるから、まあよかったのだが、説明は全て中国語で、その後の質疑応答も中国語なため、さっぱり分かんねえよ!
前回の出張時にも一緒にテストをやったお客の1人が俺の横で逐次、説明してくれはしたが。
「作業員が海に落ちた」なんていう思わずふきだしそうになる事例もあった。何やってたんだ?


今週は、急なトレーニングの申し入れ、風邪をひいてしまう、それとやっぱり拠点側の出来は前回よりだいぶマシとはいえ、まだまだ品質に対する意識が低いと感じることがあり色々とあったが、まあまだ内輪での作業だし結局、今週は予定通り作業を終えることができた。
これまでの海外出張はサブとしての参加だったが、今回はメイン担当者として行く初めての海外出張であり、正直言って不安ではあった。
何が不安ってやっぱり英語。でもとりあえず1週間乗り切れたなあ。
もちろん、だんまりのまま乗り切ったわけではなく、メイン担当者であることから積極的に話さざるをえない状況で乗り切ったのだから、ひとまず自分をほめてあげたい。
自分で言うのもなんだが昨年の3月に来た時とは段違いに英語ができるようになった。相手は中国人ということもありブロークンな英語でも通じるというのが大きいとはいえ、1年程度でここまでできるようになるものなんだなあ。
今月末から会社で実施される英語研修(ようやく再開!)のために講師と面談をした際も「これだったら海外赴任できますよ」と言われたし、ますますシンガポールが近づいてきたか???